北海道でエゾシカとの事故が増えるのはいつ?秋の多い時間帯・場所と、ぶつかったときの連絡先
北海道でエゾシカが関係する交通事故は、北海道警察の集計で2025年(令和7年)に6,705件。前年より1,245件増え、9年連続で過去最多を更新しました。多いのは10月と11月で、この2か月だけで年間の約41%。時間帯は18〜20時がピークで、16時から24時までに7割が集中します。道路の種類では国道が6割、警察の方面別では札幌方面が4割です(北海道警察「エゾシカが関係する交通事故の発生状況(令和7年中)」PDF)。
この記事は、秋にキャンピングカーで北海道を走る人向けに、この統計を「いつ・どこで・何時に気をつけるか」に読み替えます。そのうえで、目の前にシカが出たときの動き方、ぶつかったあとに電話する順番(110番・119番・#9910・レンタル会社・保険)、レンタルで事故になったときの費用の考え方までをまとめました。数字は北海道警察・北海道庁・北海道開発局・国土交通省などの公開資料から取りました。出典はすべて2026-09-24確認のものです。
北海道でエゾシカとの事故は年に何件?2025年は6,705件、9年連続で過去最多
北海道警察の統計では、2025年1月1日から12月31日までに届け出のあったエゾシカ関係の交通事故は6,705件でした。前年(2024年)の5,460件から1,245件の増加で、9年連続の最多更新。統計を取り始めた2004年(1,170件)と比べると約5.7倍です(北海道警察の資料(PDF))。
この件数には、シカと直接ぶつかった事故だけでなく、シカを避けようとして起きた事故も含まれています。内訳は物件事故6,698件、人身事故7件で、2025年の死亡事故はありませんでした。ほとんどは車の損傷で済んでいる一方、7件の人身事故は避けた先の追突や対向車との衝突で起きています(同資料)。
| 年 | 発生件数 |
|---|---|
| 2004年(平成16年・統計開始) | 1,170 |
| 2017年(平成29年) | 2,430 |
| 2019年(令和元年) | 3,188 |
| 2020年 | 3,511 |
| 2021年 | 4,009 |
| 2022年 | 4,480 |
| 2023年 | 5,287 |
| 2024年 | 5,460 |
| 2025年(令和7年) | 6,705 |
増え方の速さも見ておいてください。4,000件を超えたのが2021年、5,000件超えが2023年、そして2025年に6,000件台。2年で1,400件以上増えた計算です。北海道庁も、2017年以降は毎年2,000件を超えていると説明しています(北海道庁「エゾシカとの交通事故防止について」)。
何月に多い?10月と11月の2か月で年間の約41%
月別では10月が1,531件(22.8%)で最多、次いで11月の1,206件(18.0%)。2か月の合計は2,737件で、年間の40.8%を占めます。9月(616件)から増え始め、12月(654件)でもまだ夏の1.5倍前後あり、いちばん少ないのは2月の154件です(北海道警察の資料(PDF))。
| 月 | 発生件数 | 構成率 |
|---|---|---|
| 1月 | 245 | 3.7% |
| 2月 | 154 | 2.3% |
| 3月 | 226 | 3.4% |
| 4月 | 424 | 6.3% |
| 5月 | 402 | 6.0% |
| 6月 | 438 | 6.5% |
| 7月 | 421 | 6.3% |
| 8月 | 388 | 5.8% |
| 9月 | 616 | 9.2% |
| 10月 | 1,531 | 22.8% |
| 11月 | 1,206 | 18.0% |
| 12月 | 654 | 9.8% |
秋の紅葉ドライブで走行距離が延びる時期と、この山がそのまま重なります。北海道庁はこの時期について「10~11月はエゾシカの繁殖期で動きが活発になるほか、越冬地へ移動する時期にも重なります」と説明しています(北海道庁のページ)。理由の詳しい話はあとの段落に回して、先に時間帯を見ます。
何時ごろに多い?18〜20時がピークで、16時から24時に7割
時間帯別では18〜20時が1,932件(28.8%)で最多、16〜18時が1,506件(22.5%)で続きます。16時から24時までを足すと4,831件、全体の72%。昼夜の区分では夜間が99.5%(6,672件)で、昼間は33件しかありません。早朝にも4〜6時に423件の小さな山があります(北海道警察の資料(PDF))。
| 時間帯 | 発生件数 | 割合 |
|---|---|---|
| 0〜2時 | 269 | 4.0% |
| 2〜4時 | 279 | 4.2% |
| 4〜6時 | 423 | 6.3% |
| 6〜8時 | 272 | 4.1% |
| 8〜10時 | 172 | 2.6% |
| 10〜12時 | 141 | 2.1% |
| 12〜14時 | 129 | 1.9% |
| 14〜16時 | 189 | 2.8% |
| 16〜18時 | 1,506 | 22.5% |
| 18〜20時 | 1,932 | 28.8% |
| 20〜22時 | 891 | 13.3% |
| 22〜24時 | 502 | 7.5% |
「18〜20時」を秋の北海道の空に当てはめると、日没後の暗い時間です。国立天文台の暦では、札幌の日の入りは10月1日17時17分、10月31日16時29分、11月30日には16時01分。根室では10月31日16時11分、11月30日15時44分まで早まります(国立天文台 こよみの計算・札幌2026年10月、同・根室2026年10月、同・根室2026年11月)。10月下旬以降の道東では16時台にはもう薄暮で、17時を過ぎれば完全な夜。「夕方の移動」のつもりが、統計上いちばん危ない時間帯の運転になります。
キャンピングカー旅なら対策は単純で、その日の泊地に日没前、10月下旬以降なら16時前後には着く行程にすることです。北海道の10月の気温と服装の記事でも「泊地には16時台に着く」と書きましたが、シカの統計から見ても同じ結論になります。どうしても暗くなってから走るなら、速度を落とし、次に挙げる多発エリアを外して組んでください。
どこで多い?札幌方面が4割、振興局では胆振・釧路・石狩、道路は国道が6割
警察の方面本部別では、札幌方面が2,790件(41.6%)で最多、釧路方面1,751件(26.1%)、旭川方面1,272件(19.0%)、北見方面589件(8.8%)、函館方面303件(4.5%)の順です。道路の種類では国道が4,040件(60.3%)、道道1,803件(26.9%)、市町村道など630件、高速道路・自動車専用道232件でした(北海道警察の資料(PDF))。
「札幌方面」は札幌市だけでなく、石狩・空知・後志・胆振・日高のおおむね全域にまたがる管轄です。北海道庁が振興局別に整理した表では、2025年に多かったのは胆振1,029件、釧路868件、石狩846件、上川605件、オホーツク589件、十勝555件の順。前年からの増加幅が大きかったのも石狩(+200件)と胆振(+184件)でした(北海道庁「令和7年 エゾシカが関係する交通事故発生状況」PDF)。
| 地域 | 振興局 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|
| 中部 | 胆振 | 845 | 1,029 |
| 石狩 | 646 | 846 | |
| 日高 | 197 | 273 | |
| 東部 | 釧路 | 831 | 868 |
| オホーツク | 438 | 589 | |
| 十勝 | 453 | 555 | |
| 根室 | 333 | 328 | |
| 北部 | 上川 | 461 | 605 |
| 空知 | 353 | 453 | |
| 宗谷 | 353 | 386 | |
| 留萌 | 178 | 209 | |
| 南部 | 後志 | 218 | 297 |
| 渡島 | 119 | 217 | |
| 檜山 | 35 | 50 | |
| 全道合計 | 5,460 | 6,705 | |
旅行者の目線で言い直すと、新千歳空港(千歳市=石狩振興局)で車を受け取り、苫小牧・白老・支笏湖方面(胆振)へ向かう最初の数十kmが、すでに振興局別で1位と3位の多発エリアです。道東では釧路、道北では上川。「郊外の山道だけ気をつければいい」という感覚は、この統計とは合いません。苫小牧周辺の道路事情は苫小牧・白老キャンピングカーガイド、空港発の車選びは新千歳空港発キャンピングカーレンタルの拠点比較にまとめています。
シカの動きは、左右いずれかからの横断が89.9%(右から3,065件、左から2,965件)。天候は曇り44.0%、晴れ42.4%で、雨や雪の日より、ふつうの天気の夜に起きています(北海道警察の資料(PDF))。悪天候の日だけ警戒しても足りない、ということです。荒天時の運転そのものは北海道キャンピングカー旅の悪天候対策で扱っています。
具体的にどの国道が危ない?開発局が「要注意区間」に挙げた7か所
国土交通省北海道開発局は、管理する国道について、おおむね10km区間ごとのエゾシカ事故処理件数(2020〜2024年の開発局調べ)を地図にした「エゾシカ衝突事故マップ」の令和7年度版を公開しています。全道版で「要注意区間」として名前が挙がっているのは次の7か所です(北海道開発局 エゾシカ衝突事故マップ、全道版PDF)。
- 国道12号 神居古潭・春志内付近
- 国道38号 滝里湖付近
- 国道36号・234号・235号・276号 苫小牧市およびその周辺地区
- 国道240号 道東自動車道 阿寒IC付近
- 国道272号 道東自動車道 釧路別保IC付近
- 国道44号 釧路町〜浜中町、根室市川口〜温根沼付近
- 国道272号 別海町西春別
地図には釧路根室・道央(苫小牧中心)・旭川富良野の地域別版もあり、日本語のほか英語・中国語繁体字版が用意されています。行程が決まったら、通る国道をこの地図に重ねて、要注意区間を明るいうちに通過するように並べ替える。これが出発前にできる、いちばん具体的な準備です。
保険会社の側から見た「多い場所」も一致します。日本損害保険協会北海道支部が会員9社の車両保険金支払いを集計した2024年10〜11月の調査では、市町村別の支払件数の上位は釧路市82件、苫小牧市60件、札幌市43件、根室市41件、千歳市34件でした(日本損害保険協会北海道支部 2025年9月26日発表(PDF))。釧路・根室の走り方は釧路・阿寒湖キャンピングカードライブガイドと野付半島・根室キャンピングカードライブガイドにあります。
なぜ秋の夕方に集中するのか。繁殖期と越冬の移動、そして早い日没
北海道庁は理由を2つ挙げています。ひとつは「10~11月はエゾシカの繁殖期で動きが活発になる」こと、もうひとつは「越冬地へ移動する時期にも重なる」こと。行動範囲が広がる時期に、道路を横切る回数が増えるわけです(北海道庁「エゾシカとの交通事故防止について」)。
時間帯については「エゾシカの活動のピークは日出と日没前後」で、「周囲が暗くエゾシカに気付きにくく、通勤や帰宅の時間帯で交通量も多い」と説明されています(同ページ)。秋は日没が日ごとに早まり、シカの活動時間と人の移動時間が重なる幅が広がる。統計の18〜20時のピークは、この重なりそのものです。
旅行者側にも秋特有の事情があります。紅葉を追って1日の走行距離が延びやすく、日没後にまだ移動している旅程になりがちなこと。秋の北海道で動きが変わる動物はシカだけではなく、ヒグマも出没が増える時期にあたります。あわせて北海道キャンピングカー旅とヒグマの秋対策も読んでおいてください。走りながら野生動物を眺めたいなら、車を止められる場所を先に決めておく方が安全です(北海道で野生動物を観察できる場所10選)。
目の前にシカが出たら?急ハンドルを切らない。人身事故7件は「避けた先」で起きている
2025年の人身事故7件の中身を北海道警察の資料で見ると、「道路上の鹿を認めて減速した車両に追突」「進路前方で鹿と衝突して停止中の車両に追突」「左から飛び出してきた鹿に驚き、右に急ハンドルを切ったため、ガードレールに衝突」「右から飛び出してきた鹿と衝突、その鹿を対向車線にはね飛ばして対向車に衝突させた」といった形です(北海道警察の資料(PDF))。シカそのものより、避けた先・止まった先で人がけがをしています。
ここから導ける運転の原則は、北海道庁の5項目と北海道開発局の「衝突防止6原則」が並べているものと重なります(北海道庁のページ、開発局 全道版PDF)。
- まず速度を落とす。開発局のマップは「事故にあわないために、まずは車のスピードダウンを」と書いています
- 日の出・日没の前後は出没が増える時間帯。夕方以降は特に速度を控える
- 1頭見えたら次がいる前提で走る。道庁は「2頭目以降が飛び出してくる可能性」に触れています
- 暗い中で光るものが見えたら、ヘッドライトが反射したシカの目と考える
- 車が近づいても逃げないことがある。道庁によれば、アスファルトの上では蹄が滑って逃げるのが遅れます
- 山間部で路面に黒いブレーキ痕が続く場所は、前の車がシカに出くわした印(開発局)
- 道路脇の林はシカの生活圏。林に挟まれた区間では常に飛び出しを想定する(開発局)
- 出てきたら急ハンドルで避けようとしない。2025年の人身事故には、急ハンドルでガードレールに衝突した例も、対向車線側にシカを飛ばした例もあります。まっすぐ減速し、後続車のためにハザードを点ける
キャンピングカーは乗用車より車重があり、ブレーキを踏んでから止まるまでに距離が要ります。踏むタイミングを早める運転の基本はキャンピングカーの運転は難しい?初心者がつまずく7つのポイントにまとめています。
ぶつかってしまったら、連絡する順番は?110番、けが人は119番、倒れたシカは#9910、それからレンタル会社
順番を先に書きます。①安全な場所に止めてハザードを点ける、②けが人がいれば119番、③警察に110番、④路上に倒れたシカや散らばった部品は道路緊急ダイヤル#9910、⑤レンタル会社の緊急連絡先、⑥自分の保険を使う可能性があれば保険会社。一つずつ根拠を添えます。
交通事故を起こした運転者の義務は道路交通法72条に書かれています。「直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない」、そのうえで警察官に、事故の日時と場所、「死傷者の数及び負傷者の負傷の程度」、「損壊した物及びその損壊の程度」などを報告しなければならない、という内容です(道路交通法 第72条・e-Gov法令検索)。報告事項に「損壊した物」が入っているとおり、けが人がいない物損でも警察への報告は省けません。北海道警察も「交通事故に遭遇した」場合を110番の対象に挙げています(北海道警察「正しい110番の利用方法」)。
路上に倒れたシカや飛び散ったバンパーの破片は、後続車にとっての落下物です。国土交通省の道路緊急ダイヤル#9910は「道路の穴ぼこ、路肩の崩壊などの道路損傷、落下物や路面の汚れなど道路の異状」の通報先で、全国共通・24時間・無料。2024年3月29日からはLINEでの通報もできます。同じページに「事故情報は、警察(110番)へ連絡してください」とあるので、事故そのものの届出は110番、路上の異状は#9910、と分けて考えます(国土交通省 道路緊急ダイヤル(#9910))。北海道開発局のマップも「衝突事故を起こしたら」「鹿が道で倒れているのを発見したら」#9910へ、「ケガ人がいる時は消防署(119番)へ」と案内し、道路の距離標の数字を伝えると対応が早いとしています(開発局 全道版PDF)。
ここまで済んだら、借りたレンタル会社の緊急連絡先に電話します。車をそのまま走らせてよいか、レッカーや代車をどうするか、修理をどこに出すかは会社ごとの手続きで決まるので、指示を受けてから動きます。緊急連絡先は予約時か出発時に確認して、乗る前にスマートフォンに登録しておいてください。事故以外も含めたレンタル中のトラブルの対処はキャンピングカーレンタルのトラブル・失敗と対処法にまとめています。
JAFは事故後の手順として、救護と危険防止、警察への報告に続けて保険会社への連絡を挙げています(JAF クルマ何でも質問箱「交通事故を起こしたら」)。レンタルの補償はレンタル会社を通して手続きするのが基本ですが、自分の自動車保険の特約やクレジットカード付帯の保険を使う可能性があるなら、その保険会社にも当日中に一報を入れます。
| 連絡先 | 番号 | 使う場面 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 警察 | 110 | 事故の届出。物損だけでも対象。けが人の有無・場所・状況を伝える | 道路交通法72条、北海道警察 |
| 消防 | 119 | けが人がいるとき | 北海道開発局マップ |
| 道路緊急ダイヤル | #9910(LINE通報も可) | 倒れたシカ、破片など路上の異状。事故そのものの届出は110番 | 国土交通省、北海道開発局 |
| 高速道路の非常電話 | 本線上1kmおき、トンネル内200mおき | 高速道路上。携帯電話がつながらないとき | NEXCO東日本 |
| レンタル会社 | 予約時・出発時に確認した緊急連絡先 | 警察への連絡のあと。指示を受けてから車を動かす | 会社ごとの規定 |
| 保険会社 | 自分の契約の事故受付 | 他車運転特約やカード付帯保険を使う可能性があるとき | JAF |
高速道路でぶつかったら、通報より先に車の外へ出る
高速道路と自動車専用道の件数は232件と全体の3.5%ですが、起きたときの危険は一般道の比ではありません。NEXCO東日本は、事故で止まったら「速やかに車を路肩に移動」し、ハザードランプ・発炎筒・停止表示器材で後続車に合図したうえで、「ガードレールの外側など安全な場所に待避」、「車の中に留まることは危険」、通報は避難してから110番・非常電話・#9910で、という順番を示しています。非常電話は本線上1kmおき、トンネル内は200mおきです(NEXCO東日本 ドラぷら「事故を起こしてしまったら」)。
2025年10月からは、日高自動車道の苫小牧東IC〜沼ノ端西ICと深川・留萌自動車道の深川JCT〜深川西ICで非常電話の運用が止まり、携帯電話からの#9910が案内されています(NEXCO東日本「高速道路での非常電話(一部)運用停止について」)。苫小牧東〜沼ノ端西は、上で見た苫小牧周辺の多発エリアの中です。
停止表示器材(三角表示板など)と発炎筒は、NEXCO東日本が必ず車に積んでおくよう案内している装備です(同ページ)。レンタルのキャンピングカーでは、出発時にどこに積んであるかを一緒に確認しておくと、暗い路肩で探さずに済みます。
レンタルのキャンピングカーでシカとぶつかったら、費用はどうなる?
損害の規模から。日本損害保険協会北海道支部の調査では、2024年10〜11月のエゾシカ衝突事故による車両保険金の支払いは1,229件・7億5,559万円で、1件あたりの平均は61.5万円、最大は890万円でした(会員9社の合計。同支部 2025年9月26日発表(PDF))。乗用車を中心にした数字ですが、ぶつかれば数十万円の修理になるのが平均的な姿だと分かります。
レンタルの場合、この修理費をそのまま払うのではなく、レンタル料金に含まれる車両補償と、免責額、NOC(ノンオペレーションチャージ=修理中に車を貸し出せない分の補償)の組み合わせで自己負担が決まります。免責額とNOCの金額、動物との衝突が補償の対象に含まれるか、免責補償オプションでどこまで下がるかは会社ごとに違うので、この記事では金額を書きません。予約画面と約款で確認し、分からなければ予約前に問い合わせてください。仕組みの読み方はキャンピングカーレンタルの保険と免責、NOCで実際いくら払う可能性があるかで説明しています。
費用の面からも、警察への届出は省けません。補償や保険の手続きで求められる交通事故証明書は、自動車安全運転センターが警察から提供された資料をもとに発行するもので、同センターは「交通事故に遭われたときは、必ず警察に届出をして、後日、交通事故証明書の交付を受けるようにしてください」と案内しています(自動車安全運転センター「交通事故に関する証明書」)。「シカ相手だから警察はいいだろう」と現場で判断すると、あとで自己負担が増える側に転びます。
秋の北海道を走る前に確認しておく8項目
ここまでの内容を、予約から走行中までの順に並べ直します。統計を眺めて終わりにせず、旅程と持ち物に落とすための一覧です。
| タイミング | 確認・判断すること |
|---|---|
| 予約するとき | 免責額・NOCの金額と、動物との衝突が車両補償の対象かを予約画面と約款で確認する。緊急連絡先の番号を控える |
| 行程を組むとき | 通る国道を開発局のエゾシカ衝突事故マップに重ね、要注意区間は明るいうちに通過する順にする。泊地には日没前、10月下旬以降は16時前後に着く |
| 出発するとき | 発炎筒と停止表示器材の積載場所を確認する。レンタル会社の緊急連絡先をスマートフォンに登録する |
| 走っているとき | 夕方以降と早朝は速度を落とす。1頭見たら次を待つ。光る目・路面のブレーキ痕・林に挟まれた区間で警戒を上げる |
| シカが出たとき | 急ハンドルを切らず、まっすぐ減速。ハザードで後続車に知らせる |
| ぶつかったとき | 安全な場所へ→けが人は119番→警察に110番→倒れたシカ・破片は#9910→レンタル会社→自分の保険会社 |
- □ 免責額・NOC・動物衝突の補償範囲を予約前に確認した
- □ 通る国道を開発局のマップで見て、要注意区間の通過時刻を昼間にした
- □ 毎日の泊地に日没前(10月下旬以降は16時前後)に着く行程にした
- □ 発炎筒と停止表示器材の場所を出発時に確認した
- □ レンタル会社の緊急連絡先をスマートフォンに登録した
- □ 110・119・#9910の使い分けを同乗者と共有した
- □ 夕方以降に走る日は、速度を落とす区間を決めた
- □ シカが出たら「急ハンドルを切らずに減速」と口に出して確認した
11月に入ると、初雪や路面凍結の話がこの上に重なります。そちらは北海道の初雪はいつ?キャンピングカー旅への影響と直前対策を、秋の行程全体は北海道キャンピングカー秋旅ガイドを見てください。
よくある質問(FAQ)
北海道でエゾシカの事故は年に何件起きていますか?
北海道警察の統計で、2025年(令和7年)は6,705件です。前年から1,245件増え、9年連続で過去最多を更新しました。内訳は物件事故6,698件、人身事故7件で、死亡事故はありませんでした。
エゾシカとの事故が多いのは何月ですか?
10月(1,531件・22.8%)と11月(1,206件・18.0%)です。2か月で年間の40.8%を占めます。9月から増え始め、12月も654件と少なくありません。北海道庁は、10〜11月が繁殖期で動きが活発になり、越冬地へ移動する時期とも重なると説明しています。
何時ごろが危ないですか?
18〜20時が28.8%で最多、16〜18時が22.5%で続き、16時から24時に72%が集中します。夜間が99.5%です。10月下旬以降は札幌でも16時30分前後、根室では16時10分前後に日が沈むため、16時台にはすでに危ない時間帯に入っています(北海道警察・国立天文台)。
エゾシカの事故はどこで多いですか?
警察の方面別では札幌方面41.6%、釧路方面26.1%。振興局別では胆振1,029件、釧路868件、石狩846件の順です。道路の種類では国道が60.3%を占めます。北海道開発局のマップは、国道12号・38号・36号・234号・235号・276号(苫小牧周辺)・240号・272号・44号の各区間を要注意区間として挙げています。
シカが飛び出してきたらどうすればいいですか?
急ハンドルを切らず、まっすぐ減速してハザードを点けます。2025年の人身事故7件には、急ハンドルでガードレールに衝突した例や、減速した車への追突が含まれています。1頭が渡り終えても、群れの次の1頭が続く前提で待ってください。
エゾシカとぶつかったら、どこに連絡すればいいですか?
けが人がいれば119番、警察に110番(物損だけでも道路交通法72条の報告義務があります)、路上に倒れたシカや破片は道路緊急ダイヤル#9910。そのあとレンタル会社の緊急連絡先に電話し、指示を受けてから車を動かします。自分の保険を使う可能性があれば保険会社にも当日中に連絡してください。
高速道路でぶつかったときは何が違いますか?
通報より先に避難です。NEXCO東日本は、車を路肩に寄せ、ハザード・発炎筒・停止表示器材で合図してから、ガードレールの外側など安全な場所に待避し、そのあと110番・非常電話・#9910で通報するよう案内しています。車内に留まるのは危険とされています。
レンタルのキャンピングカーでシカとぶつかったら、いくら払うことになりますか?
会社ごとの免責額とNOCの規定で決まり、この記事では金額を書けません。目安として、損保協会北海道支部の調査では2024年10〜11月のエゾシカ衝突事故の車両保険金は1件平均61.5万円でした。免責額・NOC・動物衝突の補償範囲を、予約前に予約画面と約款で確認してください。
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アイキャッチ写真: Nathan Ruser「Hokkaido Sika Deer」(CC BY 4.0、Wikimedia Commons)